南アジアの島国スリランカには、実に8件ものユネスコ世界遺産(文化遺産6件・自然遺産2件)があります。

小さな国ながら豊かな歴史と自然に彩られ、「仏陀の聖歯」が祀られた寺院や、ジャングルにそびえる巨大岩の古城、神秘の原生林などバラエティに富むスポットばかりです。

この記事ではスリランカの世界遺産8か所をランキング形式でご紹介!それぞれの登録年や登録理由、見どころを詳しく解説します。



世界第8の不思議とも称される絶景や、悠久の歴史ロマンに触れられる遺跡群など、魅力満載のスリランカ世界遺産を余すところなくチェックしましょう。
第1位: シーギリヤ・ロック(文化遺産 1982年登録)




項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 3/5 (コロンボから車で約4時間、やや不便) |
見応え・迫力 | 5/5 (スリランカ随一の絶景と壮大な遺跡) |
人混みの少なさ | 2/5 (日中は非常に混雑する) |
コスパの良さ | 3/5 (入場料は約30ドルだが一見の価値あり) |
総合満足度 | 5/5 (スリランカ旅行で外せないNo.1スポット) |
スリランカ世界遺産の真打ちともいえるのが、空に向かって聳える巨岩要塞「シーギリヤ・ロック」です。
5世紀頃、狂気の王とも呼ばれるカッサパ1世が高さ約200mの岩山頂上に築いた古代宮殿の遺構で、ジャングルの中に忽然と現れる姿は圧巻です。



岩山の麓から鉄の階段を登っていくと、中腹の岩壁には「シーギリヤ・レディ」と呼ばれる美女の壁画があり、その微笑みは1500年を経た今も鮮やかに残っています。



頂上に着けば、四方を見渡す360度の大パノラマ!強風が吹き抜ける天空の宮殿跡に立てば、まさに「天空の城」に迷い込んだような気分を味わえるでしょう。




なぜ世界遺産に登録?
シーギリヤ・ロックは1982年、スリランカ初の世界遺産の一つとして登録されました。その評価理由は、5世紀の高度な都市計画を今に伝える貴重な遺産である点です。
岩山全体が巨大な要塞都市として設計され、岩頂部には王宮跡、周囲には幾何学模様の庭園や貯水池、水路網が配置されるなど、古代都市計画の優れた例証となっています。
またシーギリヤには、来訪者が岩壁に残した落書きが数多く発見されており、それら6世紀の詩文はシンハラ語の古い文献の一つとして貴重です。



こうした歴史的・文化的価値が認められ、「スリランカで最もよく保存された古代都市のひとつ」として世界遺産に登録されました。
見どころ&豆知識
シーギリヤ最大の見どころは先述の美女壁画ですが、他にも「ライオンゲート」と呼ばれる石造りの巨大な獅子の足や、磨かれた岩壁が鏡のように光る「ミラーウォール」などユニークな遺構が点在します。
頂上からの眺望は息を呑む美しさで、緑の密林と水をたたえた庭園跡が広がる景色は忘れられない旅のハイライトとなるでしょう。



なお、シーギリヤ・ロックはその圧倒的スケールから「世界第8番目の不思議」とも称されます。
観光の際は朝早めの登頂がおすすめです(正午頃はツアー客で激しく混雑するため)。熱帯の日差しを避け、水分を十分に用意してチャレンジしてください。
第2位: ダンブッラの黄金寺院[石窟寺院](文化遺産 1991年登録)




項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 4/5 (主要観光地シーギリヤから車で約30分) |
見応え・迫力 | 5/5 (巨大涅槃仏と極彩色の壁画は必見) |
人混みの少なさ | 4/5 (他の有名遺産に比べ観光客は少なめ) |
コスパの良さ | 5/5 (入場料約10ドルで満足度高い) |
総合満足度 | 5/5 (神秘的な空間と仏教芸術に心奪われる) |
第2位は、シーギリヤからほど近い場所にある仏教遺跡「ダンブッラの黄金寺院」です。
ダンブッラ石窟寺院とも呼ばれ、紀元前1世紀から約2,000年以上にわたり修行僧に利用されてきたという、スリランカ最大・最古の石窟寺院群です。



平原に突き出た岩山の中腹に天然の洞窟を活かした5つの石窟(洞窟寺院)が連なり、その中には大小150体以上の仏像と極彩色の壁画がびっしりと納められています。
内部に一歩足を踏み入れると、天井や壁一面に描かれた仏教美術に囲まれ、思わず息を呑む迫力です。5つの石窟それぞれに異なる趣向の仏像群や涅槃仏(横たわる仏陀像)が安置されており、まさに仏教芸術の宝庫となっています。
なぜ世界遺産に登録?
ダンブッラの石窟寺院は「スリランカで最大かつ最も保存状態の良い石窟寺院群」として評価され、1991年に世界文化遺産に登録されました。
3世紀BC(紀元前3世紀)から現代まで仏教の聖地として連綿と使われ続けてきた歴史的価値に加え、内部に描かれた壁画や安置された仏像はカンディ様式を代表する傑出した宗教芸術とされています。
長い年月を通じて増改築や修復が繰り返されてきましたが、現在でも18世紀頃の壮麗な姿をとどめており、仏教徒の巡礼地としても重要です。
見どころ&豆知識
「ダンブッラ」という地名はシンハラ語で「水の湧き出る岩」を意味します。



その名の通り石窟内では天井から聖なる水が滴り落ち続け、下に置いた壺の水が決して枯れないという不思議な伝説があります。



寺院入口まで岩山の麓から15~20分ほど階段を登る必要がありますが、上りきった先で目にする壮麗な石窟の光景は一見の価値ありです。
第1窟から第5窟まで順番に拝観できますが、中でも第2窟「大寺院」は最大規模を誇り、天井や壁を埋め尽くす壁画と大小約50体の仏像が圧巻です。
各窟ごとに雰囲気が異なるので、じっくりと巡ってみましょう。また岩山頂上からは、なんと先述のシーギリヤ・ロックの雄姿も遠望できます。シーギリヤとセットで訪れる旅行者も多く、比較的空いている穴場的世界遺産としてもおすすめです。



ちなみにダンブッラ石窟人とシーギリヤロックの真ん中に有名なバワ建築ホテルのヘリタンスカンダラマがあります!





ヘリタンスカンダラマを拠点としてダンブッラ石窟寺院やシーギリヤロックを観光するのは鉄板ですね!






第3位: 聖地キャンディ(文化遺産 1988年登録)




項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 5/5 (コロンボから鉄道で約3時間と便利) |
見応え・迫力 | 4/5 (仏歯寺や街の景観に風情がある) |
人混みの少なさ | 2/5 (巡礼者含め常に多くの人で賑わう) |
コスパの良さ | 4/5 (寺院の拝観料は約1,500ルピーと良心的) |
総合満足度 | 4/5 (伝統文化と自然が調和した癒しの古都) |
紅茶の高原地帯に位置する古都キャンディは、16~19世紀に続いたシンハラ王朝最後の王都であり、現在も仏教徒の信仰を集めるスリランカ仏教の聖地です。
町全体が世界遺産「聖地キャンディ」に登録されており、中心部には穏やかなキャンディ湖、その湖畔にスリランカ仏教で最高の聖地とされる仏歯寺(ダラダー・マーリガーワ寺院)があります。



仏歯寺の名前が示す通り、釈迦(ブッダ)の犬歯の遺物(仏歯)が黄金の舎利容器に収められて安置されており、これを一目拝もうと国内外から巡礼者が絶えません。
そのためキャンディは常に敬虔な空気に包まれ、街中で袈裟姿の僧侶や蓮の花を手向ける人々の姿が見られます。町全体に広がる穏やかな雰囲気と、イギリス植民地時代の面影を残す建造物、豊かな緑に囲まれた丘陵地の景観が調和した、美しい古都です。
なぜ世界遺産に登録?
キャンディは「シンハラ人による最後の王朝文化と仏教信仰の中心地」として1988年に世界文化遺産となりました。
特に仏歯寺にまつわる歴史的意義が大きいです。4世紀頃にインドからスリランカにもたらされた仏歯は、古来より王権の象徴とされ、「仏歯を所有・守護する者が王国を正統に統治できる」と信じられてきました。
それゆえ各時代の王たちは仏歯の保護に心血を注ぎ、王都が移るたびに仏歯も移送され、その近くに仏歯寺が建立されました。
キャンディはその仏歯が最後に落ち着いた地であり、現在まで守り伝えられていることが評価されています。またキャンディの街並み自体も、伝統的なシンハラ建築様式の建物群と周囲の自然景観が調和した文化的景観として価値が高いと認められました。
見どころ&豆知識
仏歯寺はキャンディ観光のハイライトです。



白壁と赤い屋根の美しい寺院で、内部では1日3回プージャ(礼拝)が執り行われます。



毎年夏にはペラヘラ祭という仏歯行列があり、象の背に載せた舎利容器と楽隊・踊り手が街を練り歩く華やかな光景は必見です。


仏歯寺以外にもキャンディ周辺には見どころがたくさんあります。例えばキャンディ湖畔を散策したり、丘の上の展望スポットから街を一望したり、王宮や博物館を訪ねたりと楽しみ方は様々です。
市内は適度に賑わっていますが治安は良く、イギリス統治時代に造られた紅茶畑列車でのアクセスも人気。標高約500mと比較的涼しい気候なので、避暑地としても心地よく滞在できます。
第4位: ゴール旧市街とその要塞群(文化遺産 1988年登録)


項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 5/5 (首都から列車やバス直行、道中の海岸線も絶景) |
見応え・迫力 | 4/5 (異国情緒あふれる城塞都市の街並み) |
人混みの少なさ | 5/5 (混雑は少なく静かでゆったり観光できる) |
コスパの良さ | 5/5 (街歩きは無料。入場料不要の史跡が多い) |
総合満足度 | 4/5 (世界遺産の街並み散策と海風を満喫できる) |
インド洋に面した南部の港町ゴールは、16世紀以降に発達した東西貿易の拠点であり、ヨーロッパ列強の植民地支配の歴史を今に伝える町です。
ポルトガル人が築いた要塞を皮切りに、17世紀にはオランダ東インド会社が本格的な石造りの城塞都市へ拡張し、18世紀には行政機関や倉庫が立ち並ぶ南アジア有数の港湾都市として繁栄しました。



その後イギリス統治下でも要塞は維持され、1948年の独立を経て現在に至ります。



旧市街地全体が周囲をぐるりと厚い城壁に囲まれており、碁盤目状の街路やオランダ様式の庁舎・住宅、教会など当時のヨーロッパ建築と南アジア文化が融合した町並みが良好に保存されています。
白い灯台や時計台、石畳の路地にカラフルなコロニアル調の建物が並ぶ景観は、「アジアの中のヨーロッパ」とも呼ばれるほど異国情緒たっぷりです。
なぜ世界遺産に登録?
ゴール旧市街は1988年、「南アジアにおけるヨーロッパ人建設の城塞都市の中で最も保存状態が良好な例」として世界遺産に登録されました。
16~19世紀にかけて移り変わったポルトガル・オランダ・イギリスそれぞれの建築様式が混在し、かつ現地の伝統とも融合した独自の都市景観を形成している点が高く評価されています。
また、幅広の城壁や堅牢な要塞システムは当時の軍事建築技術を今に伝える貴重な遺構です。



2004年のインド洋大津波の際、城壁に囲まれた旧市街地はほとんど被害を受けなかったという逸話もあり、その堅固さが証明されました。
現在も旧市街には約500世帯が暮らし、歴史的建造物を活かしたカフェやホテルも営業するなど、生きた街として保存と活用が両立しています。
見どころ&豆知識
ゴール要塞エリアは徒歩で一周できるほどコンパクトです。まずは城壁の上を歩いてみましょう。インド洋からの潮風を受けながら、ぐるりと旧市街を見渡せる遊歩道になっています。
南端には真っ白な灯台が建ち、青い海とのコントラストが写真映えします。



灯台を臨むサンセットは絶景です。


街中には17世紀建立のオランダ改革派教会やイギリス統治時代の旧総督邸(現在は博物館)など史跡が点在し、カラフルなコロニアル風住宅はおしゃれな雑貨店やレストランに活用されています。
観光客向けのお店もありますが過度に商業化はされておらず、のんびりと散策するのに最適な雰囲気です。アクセスは良好で、コロンボからゴール行きの特急列車や高速バスで日帰りも可能。美しいビーチも近郊に点在しているため、観光とリゾートの両方が楽しめるエリアとして人気上昇中です。
第5位: 古代都市ポロンナルワ(文化遺産 1982年登録)




項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 3/5 (文化三角地帯ダンブッラから車で約2時間) |
見応え・迫力 | 4/5 (仏像群や宮殿跡など見どころ多数) |
人混みの少なさ | 4/5 (広大な遺跡内に点在するため混雑しにくい) |
コスパの良さ | 3/5 (入場料約25ドルと高めだが遺跡維持のため) |
総合満足度 | 4/5 (歴史好きなら一日中楽しめる中世遺跡) |
ポロンナルワは11~13世紀に栄えたスリランカ第二の古都で、アヌラーダプラから王都が遷った後、中世シンハラ王朝の中心地として繁栄しました。



特に12世紀、パラクラマバフ1世(パラークラマバーフ大王)の治世下で黄金時代を迎え、壮大な宮殿や仏教寺院が数多く建設されました。
その後シンハラ王朝の衰退とともに13世紀末には放棄されジャングルに埋もれていましたが、19世紀にイギリス人探検家によって再発見され、発掘・整備が進められました。
現在は広大な遺跡公園となっており、かつての宮殿跡や仏塔群、仏像群が点在します。当時の都は約5km四方に及び、水面積2,500ヘクタールにもおよぶ巨大人工貯水池パラクラマ・サムドラ(パラクラマの海)を擁するなど、高度に発達した都市インフラも整っていました。


なぜ世界遺産に登録?
ポロンナルワは1982年、シーギリヤやアヌラーダプラと共にスリランカ初の世界文化遺産に登録されました。



シンハラ王朝全盛期の仏教都市文明を伝える優れた考古遺跡である点が評価されています。
アヌラーダプラ時代に比べ都市計画や建築技術が発展しており、仏教遺跡のみならずヒンドゥー寺院跡や精巧な青銅造像など多文化的要素も残ることから、多様で豊かな中世スリランカ文化を示す証拠となっています。
また、王の権威の象徴であった仏歯(仏陀の牙)がポロンナルワ時代に一時安置されていたこともあり、仏教史的にも重要な場所です。
見どころ&豆知識
ポロンナルワ遺跡は広いため、タクシーチャーターを利用して効率よく回るのがおすすめです。
必見のスポットは、歴代王の会議場跡で美しい月形石の敷かれた「王宮跡(ロイヤル・パレス)」、精緻なレリーフが残る円形仏堂「ヴァタダーゲ」などがあります。




中でも最大のハイライトは「ガル・ヴィハーラ(石の仏)」と呼ばれるエリアで、一枚岩から彫り出された巨大な涅槃仏・立仏・座仏の三尊が並ぶ光景は見る者を圧倒します。


遺跡内は自然も豊かで、野生のサルやトカゲに出会うことも。入場料はやや高めですが、遺跡保護のための費用と思ってしっかり支払いましょう(チケットは博物館で購入、チェックポイントで提示)。アヌラーダプラと比べて保存状態が良く観光しやすいことから、スリランカの古都観光では特に満足度の高いスポットとして人気です。
第6位: 聖地アヌラーダプラ(文化遺産 1982年登録)


項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 3/5 (コロンボから列車で約5時間、やや遠い) |
見応え・迫力 | 3/5 (巨大神殿跡はあるが全体に朽ちた遺構が多い) |
人混みの少なさ | 5/5 (参拝者以外の観光客は少なく静か) |
コスパの良さ | 2/5 (入場料約25ドル。見どころ分散で割高感あり) |
総合満足度 | 3/5 (仏教の聖地に興味があれば外せないが初心者向けではない) |
紀元前4世紀に建都され、約1,300年もの間シンハラ王朝の都として繁栄した古代都市アヌラーダプラ。スリランカ最古の都であり、初期仏教伝来の地としても知られます。



広大な遺跡域には無数の仏塔(ダガバ)や僧院跡が残り、その一部は現在でも現役の寺院や巡礼地として機能しています。
中でも有名なのが紀元前3世紀に植えられた「仏歯樹(スリー・マハー菩提樹)」で、ブッダが悟りを開いたインド・菩提樹の分け木から育ったとされる聖なる木です。


二千年以上もの間手厚く保護されてきたその菩提樹は、世界最古の人工的に植えられた樹木とも言われ、今なお青々と枝葉を茂らせています。
また、アヌラーダプラには高さ55mの半球状仏塔ルワンウェリ・サーヤ大塔や、かつて僧院の中心だったアバヤギリ大塔、国内最大級のジェータワナ大塔といった巨大ストゥーパ(仏塔)が林立し、悠久の歴史を感じさせます。
なぜ世界遺産に登録?
アヌラーダプラは1982年、ポロンナルワやシーギリヤとともに世界文化遺産に登録されました。
スリランカ初の王都にして仏教伝来以降の宗教中心地となった聖都であり、その遺構群はスリランカ文明の源流を物語る重要な証拠となっています。



長期間にわたり多数の建造物が建立・再建され続けたため、現存する遺跡は損壊が激しいものも多いですが、それでも往時の巨大都市の姿を偲ばせるに十分な規模です。
インドや東南アジア諸国との交流もあったことから他地域への仏教文化伝播にも影響を与えており、その点も評価されています。
見どころ&豆知識
アヌラーダプラは遺跡が市街地に点在しているため、見学には車や自転車での移動が必要です。
目玉はなんといっても先述のスリー・マハー菩提樹で、敷地内は厳かな雰囲気に包まれています。参拝の際は白い服装を身に着け、決められた場所以外では写真撮影を控えるなどマナーを守りましょう。



また、ルワンウェリ・サーヤ大塔は純白の巨大ドームが青空に映える美しい仏塔で、その周囲を取り囲むゾウの彫刻群もユニークです。
ほかにも、日本人寄贈の黄金仏塔が目印のイスルムニヤ精舎や、岩をくり抜いた沐浴池クuttam Pokunaなど見どころ多数。
遺跡エリアは広大ですが人影はまばらで、静かな雰囲気の中ゆったりと古代のロマンに浸れるでしょう。ただし観光客向けの整備は最小限なので、ガイドブックや現地ガイドを活用しながら効率よく巡るのがおすすめです。
第7位: スリランカの中央高地(自然遺産 2010年登録)




項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 2/5 (都市部から離れ山道を行く必要あり) |
見応え・迫力 | 5/5 (雲海の絶景や霊峰登山など感動体験多数) |
人混みの少なさ | 5/5 (世界遺産の中では観光客が非常に少ない) |
コスパの良さ | 4/5 (国立公園入園料はあるが自然体験価値大) |
総合満足度 | 4/5 (自然好きにはたまらない秘境的世界遺産) |
中央高地は、スリランカ中央部に広がる標高2,000m級の山岳地帯一帯を指し、ホートン・プレインズ国立公園・ピーク・ウィルダネス保護区(スリー・パーダ/Adam’s Peak含む)・ナックルズ森林保護区という3つのエリアから構成される世界自然遺産です。



いずれも亜熱帯の雲霧森林や高原湿地などが残る生物多様性の宝庫で、特にホートン・プレインズには草原と森が織りなす独特の景観が広がっています。



中央高地で最も有名なスポットは、ホートン・プレインズ内にある断崖絶壁「ワールズ・エンド(世界の果て)」でしょう。
高さ1,000m級の断崖から雲海を見下ろす景色はまさに圧巻で、運が良ければ遠くインド洋まで見渡せます。
一方、ピーク・ウィルダネスには仏教・ヒンドゥー教・イスラム教の共通聖地とされる霊峰スリー・パーダ(聖パーダ)がそびえ、毎年多くの巡礼者が山頂のご来光を拝みに登拝します。ナックルズ山地は険しい山並みと深い森が続き、トレッキング愛好家に人気です。
なぜ世界遺産に登録?
中央高地は2010年にスリランカで2件目の世界自然遺産となりました。
「スリランカに残存する最も手つかずの山地雨林」であり、島固有の動植物の宝庫であることが評価されています。
例えばこの地域にはスリランカ固有種の紫色の顔をしたサル(紫顔ラングール)やスリランカヒョウ、無数の固有種のカタツムリ・両生類・鳥類などが生息しており、島の進化史や生態系を知る上で極めて重要です。
比較的人の手が入っていない原生状態の森林が広範囲に残っている点も、環境保全上価値が高いと認められました。
紅茶プランテーションなどによる開発から守られた山岳地帯であり、生物多様性ホットスポットとして今後も厳重に保護していく必要があります。
見どころ&豆知識
中央高地を訪れる一般的な拠点は高原の町ヌワラエリヤです。


ホートン・プレインズへは朝6時頃から入園できますが、ワールズ・エンドの雲海は午前中限定なので早起き必須です(7~9時頃までに到達するのがおすすめ)。



約9kmの周回トレイルを歩く本格ハイキングとなるため、歩きやすい服装・靴で臨みましょう。運が良ければ野生のシカやカラフルな野鳥にも出会えます。
スリー・パーダ(別名アダムスピーク)は標高2,243mの霊峰で、山頂には仏陀の足跡が残るとされる石が祀られています。真夜中から何千段もの石段を登り、夜明けに拝むご来光は格別です(登山は12~5月の乾季限定)。
ナックルズはツアーで訪れることもできますが上級者向け。
いずれにせよ中央高地の自然は素晴らしく、一面に広がる紅茶畑の風景も含めて心洗われる体験ができるでしょう。ただしアクセスは山道で時間がかかるため、余裕を持った計画で。観光客は比較的少なく、手付かずの大自然を満喫できます。
第8位: シンハラジャ森林保護区(自然遺産 1988年登録)


項目 | 評価 (5段階) |
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アクセスの良さ | 1/5 (場所が非常に辺地で到達に時間がかかる) |
見応え・迫力 | 3/5 (地味だが熱帯雨林ならではの神秘的雰囲気) |
人混みの少なさ | 5/5 (訪問者が少なく静寂そのもの) |
コスパの良さ | 4/5 (ガイド料など必要だが手付かずの自然はプライスレス) |
総合満足度 | 3/5 (自然愛好家向け。一般観光としては上級者向け) |
シンハラジャ森林保護区は、スリランカ南西部に広がる面積約89㎢の熱帯雨林です。「シンハラジャ」はシンハラ語で「獅子の王国」を意味し、その名にふさわしく鬱蒼とした密林が広がっています。
東西21km×南北7kmほどの細長いエリアに過ぎませんが、ここにはスリランカ最後の原生雨林といえる貴重な生態系が残存しています。



太古のゴンドワナ大陸時代の植物相を色濃く残すとされ、森には高さ数十メートルに達するフタバガキの巨木が林立。うっそうとした林床では無数のシダ植物やランが生い茂り、まさにジュラシックパークさながらの光景です。
また、シンハラジャにはクジャクヤマガメなどの固有爬虫類、約20種以上の固有鳥類、蝶や両生類など数え切れないほどの固有種が生息し、1978年には生物圏保護区にも指定されています。
一方でゾウやヒョウなど大型哺乳類はほとんど見られず、その静かな森は研究者やバードウォッチャーにとって楽園となっています。
なぜ世界遺産に登録?
シンハラジャ森林は1988年、「スリランカ最後の大規模な熱帯雨林」として世界自然遺産に登録されました。
評価のポイントは、島固有の生物多様性の宝庫であり進化研究上も重要なことです。地理的に孤立した島スリランカでは独自の種分化が進みましたが、その過程を示す種群がシンハラジャには多く残存しています。
また熱帯雨林は地球規模で見ても減少が著しく、シンハラジャのように伐採をまぬがれた森林は極めて貴重です。比較的小規模ながら、典型的な低地湿潤林の生態系を完整に保持している点が評価されました。
見どころ&豆知識
シンハラジャ森林への玄関口となる村では現地ガイドを手配できます。
内部はジャングルが深く、トレイルも整備されていない箇所が多いためガイド同行が必須です。
観光客向けの派手な見どころは少ないものの、静かな森を歩きながら珍しい鳥のさえずりに耳を澄ませたり、色とりどりのチョウが舞う様子を観察したりと自然観察好きにはたまらない体験ができます。
運が良ければカラフルな固有鳥「スリランカヤケイ」や巨木に群生する食虫植物なども見られるでしょう。雨林なので突然のスコールやヒル(蛭)も出ますから長袖長ズボン・防虫対策は忘れずに。


アクセスはコロンボから車で半日近くかかる山奥のため、時間に余裕をもって訪れましょう。観光地化されていない分、喧騒から離れて原始の森に浸れる穴場的世界遺産です。
まとめ:スリランカ世界遺産で歴史と自然を満喫しよう
以上、スリランカの8つの世界遺産をランキング形式で紹介しました。
文化遺産6件・自然遺産2件それぞれに異なる魅力があり、古代から続く仏教文化の深さや、大自然のスケールに圧倒されます。
特に上位に挙げたシーギリヤ・ロックやダンブッラ石窟寺院、キャンディの仏歯寺はスリランカ旅行のハイライトとして外せないスポットです。
一方、自然遺産の中央高地やシンハラジャ森林は観光客も少なく穴場的存在で、混雑を避けて絶景や探検を楽しみたい人におすすめできます。
スリランカは国土がそれほど広くないため、工夫すれば1~2週間で8か所すべて巡ることも可能です。ただし移動はそれなりにハードになるため、余裕がなければ文化遺産を中心に巡りつつ旅程に自然遺産を1か所組み込む程度でも十分でしょう。


例えば「文化三角地帯」と呼ばれるシーギリヤ・ダンブッラ・ポロンナルワ・アヌラーダプラは互いに近く周遊しやすいです。


南部ゴールはベントータなどのビーチリゾートと組み合わせて訪れるのも人気です。高地の世界遺産に行くなら涼しい紅茶の町ヌワラエリヤや登山を絡めたプランがおすすめです。



最後に、安全で充実した旅にするために服装やマナーにも配慮しましょう。仏教遺跡では肌の露出を避け白系の服装が望ましいですし、寺院では靴を脱ぎ帽子を取る必要があります。
遺跡や自然の保護のため決められた場所以外には立ち入らないようにしましょう。スリランカの世界遺産を巡る旅は、きっとあなたに忘れられない思い出と知見をもたらしてくれるはずです。
壮大な歴史と自然の宝庫スリランカで、心ゆくまで世界遺産巡りを楽しんでください。
スリランカ世界遺産8ヶ所 総合評価一覧
最後に、本記事で紹介した8つの世界遺産の評価を一覧表にまとめます。アクセスや見どころ、混雑度など各項目の5段階評価を比較して、旅のプランニングの参考にしてください。
世界遺産(登録年) | アクセス | 見応え | 人混み少なさ | コスパ | 総合満足度 |
---|---|---|---|---|---|
シーギリヤ・ロック (1982) | 3/5 | 5/5 | 2/5 | 3/5 | 5/5 |
ダンブッラ石窟寺院 (1991) | 4/5 | 5/5 | 4/5 | 5/5 | 5/5 |
聖地キャンディ (1988) | 5/5 | 4/5 | 2/5 | 4/5 | 4/5 |
ゴール旧市街と要塞群 (1988) | 5/5 | 4/5 | 5/5 | 5/5 | 4/5 |
古代都市ポロンナルワ (1982) | 3/5 | 4/5 | 4/5 | 3/5 | 4/5 |
聖地アヌラーダプラ (1982) | 3/5 | 3/5 | 5/5 | 2/5 | 3/5 |
スリランカ中央高地 (2010) | 2/5 | 5/5 | 5/5 | 4/5 | 4/5 |
シンハラジャ森林 (1988) | 1/5 | 3/5 | 5/5 | 4/5 | 3/5 |
今回のポイント
- スリランカには文化遺産6件・自然遺産2件の計8つの世界遺産があり、古代都市遺跡から熱帯雨林まで多彩な魅力にあふれている。
- 人気の高いシーギリヤ・ロックやダンブッラ石窟寺院、聖地キャンディは歴史的価値と迫力ある景観で特におすすめの訪問先。
- 自然遺産の中央高地(ホートンプレインズなど)やシンハラジャ森林はアクセスは難しいが、手つかずの絶景や豊かな生態系を体感できる穴場スポット。
- 8か所すべて巡ることも可能だが、日程に余裕がない場合は文化三角地帯の遺産や南部ゴールなど地域ごとにまとめて訪問すると効率的。
- 仏教寺院では服装や礼儀に注意し、遺跡や自然環境の保全に配慮した行動を心がけることで、世界遺産巡りがより充実した感動体験となる。
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