「南国のスリランカに、涼しくて英国気分を味わえる町がある」──そんな噂を聞いたら気になりませんか?
紅茶の名産地として知られる高原の街、ヌワラエリヤは標高約1,800mに位置し、年間平均気温16℃ほどの避暑地です。

色鮮やかな茶畑が丘陵に広がり、イギリス統治時代の面影を残す街並みから「リトルイングランド」とも呼ばれています。





スリランカ旅行でこのヌワラエリヤを訪れれば、美しい紅茶畑と爽やかな空気に癒やされ、きっと特別な思い出ができるはずです。
本記事では、ヌワラエリヤへの行き方や魅力的な観光スポット、紅茶工場の見学体験、さらにはおすすめホテル情報まで、日本人観光客向けに余すところなくご紹介します。
南国スリランカで味わう高原リゾートの魅力に、さっそく迫っていきましょう!
ヌワラエリヤへの行き方:紅茶列車+タクシーが快適でおすすめ
スリランカの主要観光ルート上にあるヌワラエリヤへは、いくつかの移動手段があります。中でも キャンディ発の「紅茶列車」とタクシーを組み合わせるルート が快適で人気です。


まずタクシーチャーターを使用してスリランカ中部の古都キャンディへ移動し、キャンディ駅から鉄道に乗り世界的にも有名な高原鉄道の旅を楽しみます。


キャンディ駅を朝出発した列車は、徐々に高度を上げて茶畑の中を進み、約4~5時間かけてヌワラエリヤの最寄り駅ナヌオヤ駅へ到着します(ヌワラエリヤ市内に鉄道駅はないため、このナヌオヤ駅から車で移動します)。


車窓からは広大な緑の茶畑や滝の景観が続き、「紅茶列車」と呼ばれるこの路線ならではの絶景を満喫できるでしょう。特に2等車は窓や扉が開放され、風を感じながら撮影もできるので人気です。




鉄道の座席は1等(エアコン有)・2等(扇風機)・3等があり、公式サイトから乗車日の約1ヶ月前より予約可能です。



観光シーズンは当日券が売り切れる場合もあるので早めの予約がおすすめです。



売り切れている場合の裏ざわは後でお伝えしますね!
ナヌオヤ駅に着いたら、キャンディ駅まで送ってもらったタクシーチャーターにピックアップしてもらいヌワラエリヤ市街へ 向かいます。駅から町までは約7~8km離れており、所要20分ほどです。
上記のようにタクシーを事前手配して駅でピックアップしてもらう方法も便利ですし、駅前で待機しているトゥクトゥク(三輪タクシー)を捕まえてもOKです。料金の目安はトゥクトゥクなら約1,000スリランカルピー程度(※アプリ配車「PickMe」での試算例)と手頃です。
バスでの移動も可能で、駅近くのバス停からヌワラエリヤ行きの路線バス(715番など)が30分おき程度で運行しています。バスならたった数十ルピーと格安ですが、荷物が多い場合や初めての方にはタクシー利用が安心でしょう。
※参考:キャンディ~ヌワラエリヤ間の主要交通手段比較(所要時間・費用目安)
移動手段 | 所要時間 | 費用目安(1人) | 特徴・メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
鉄道+タクシー (キャンディ駅〜ナヌオヤ駅+送迎車) | 約5時間(列車) + 20分(車) | 列車:約3,000〜6,000ルピー(座席クラスによる) タクシー:1台1日あたり約1.5万円 | 景観◎:茶畑の絶景を満喫旅情あふれる体験 | 時間はかかるが乗り心地良好※荷物を車で運べば負担減 |
貸切車・タクシー直行 | 約3〜4時間 | 約7,000〜10,000ルピー(車1台あたり) | 時間短縮:自由に寄り道も可荷物もそのまま運搬 | 費用高め山道のカーブが多く酔いやすい |
路線バス | 約4時間 | 約200ルピー前後 | 料金最安 | 車内混雑・揺れ大きい快適さに欠け長距離は疲れる |
上記の中でも特におすすめなのが最初に述べた 「鉄道+タクシー」ハイブリッド移動 です。



タクシーなら朝イチでコロンボを出発してキャンディの駅まで送迎してもらいナヌオヤ駅からピックアップしてもらうという旅程も可能になります。
ツアー用の貸切タクシーをチャーターしている場合、大きな荷物は車に積んだまま 運んでもらい、自分は身軽に列車旅を楽しむこともできます。
この方法なら貴重品と身の回り品だけ持って紅茶列車に乗車できるので、荷物の心配なく絶景鉄道を満喫できます。ナヌオヤ駅で再びタクシーと合流すれば、その後のヌワラエリヤ観光もスムーズです。
時間に余裕があればキャンディから日帰り訪問も不可能ではありませんが、できればヌワラエリヤに1泊して周辺観光をじっくり楽しみ、次の日はそのまま南側(エッラ方面やコロンボ方面)へ抜ける旅程がおすすめです。
紅茶列車の予約が取れない!そんな時の裏技とは!?
紅茶列車の予約はスリランカ国鉄公式サイトから取れます。以下を入力します。





すると、予約できる列車がないと出て絶望する方も多いのではないでしょうか?


ただ、ここで諦めないでください!
現地の方に依頼をすれば3号車であれば、チケットを取ることも可能です。事前にタクシーチャーターを日本の会社で依頼しておけば、ドライバーに頼んでチケットを取得してもらうことも可能です。



実際、私も同区間の紅茶列車に乗ろうとした時に予約が一杯で焦りました。しかし、現地のドライバーに依頼して紅茶畑の風景が始まるHattonからNanu oyaまでの区間を紅茶列車を楽しむことができました。
なぜ、キャンディ駅からじゃなくてNawalapitiya駅からなのか気になった方もいらっしゃるかと思います。それは乗車時間にあります。
3号車は必ず座れるとは限りません。立ち時間となることを想定した時にキャンディ駅からナヌオヤ駅までの3時間半は耐えられないかと思います。
一方、Hattonからナヌオヤ駅までの1時間程度であれば、仮に席がとれずに立ち席だったとしても紅茶列車の風景を楽しむことが可能になります。



タクシーチャーターであればHatton駅までの送迎とナヌオヤ駅のピックアップも任せることができるので安心ですね!
列車の手配を含めて、事前の旅程にも相談に乗ってもらうサポートもついているタクシーチャーター会社は以下になります。日本人が経営しており、スリランカ政府公認のドライバーをチャーターできるので安心感があります。


ヌワラエリヤの魅力と観光スポット
涼しい気候と美しい景観に恵まれたヌワラエリヤは、他のスリランカの町とはひと味違う独特の魅力を持っています。



19世紀に避暑地として開発された背景から英国調の建物が多く、赤レンガの郵便局やチューダー様式のホテルなど街並みに「小さな英国」の趣が漂います。



また周囲には豊かな自然が広がり、紅茶畑や湖、滝 といった絶景スポットが点在しています。ここではヌワラエリヤ訪問でぜひ立ち寄りたい主な観光スポットを紹介します。
グレゴリー湖 (Lake Gregory)


ヌワラエリヤの町の南端に広がる人造湖。湖畔は整備された公園になっており、ボート遊びやサイクリングを楽しめます。晴れた日の湖は高原の爽やかな空気の下、ピクニックにも最適です。
夕方には地元の家族連れや観光客で賑わい、湖に沈む夕日もロマンチックです。
ビクトリア公園


町の中心に位置する植物園風の公園。色とりどりの花壇が美しく、特に4~5月頃には鮮やかな花々が満開になります。
名前は英国のヴィクトリア女王にちなんだもので、園内には子供向け遊具や小さな動物園もあり、のんびり散策するのにぴったりです。
ヌワラエリヤ郵便局


街のランドマーク的存在の可愛らしい建物。赤い屋根とレンガ造りの外観が特徴で、なんと19世紀末(1894年)に建てられた歴史ある郵便局です。
現在も現役の郵便局として利用されており、ここから旅先の家族や友人にポストカードを送ってみるのも一興ですよ。
ホートンプレインズ国立公園(ワールズエンド)


ヌワラエリヤ近郊の高原に広がる国立公園で、世界遺産にも登録されています。
早朝に出発して園内をハイキングし、有名な断崖絶壁「World’s End(世界の果て)」から雄大な景色を見下ろす体験は圧巻です。公園内には野生のサンバー(鹿)や多彩な植物が生息し、自然好きには外せないスポットです。
ラバーズリープ滝 (Lover’s Leap Falls)


ヌワラエリヤ郊外にある落差30mほどの滝。市内中心部からも比較的アクセスしやすく、滝の名前にはちょっと切ない伝説が残されています。
近隣のペドロ茶園から徒歩でトレッキング感覚で行けるため、茶畑散策とセットで訪れる人も多いです。
アンベウェラ牧場(ニュージーランド農場)


ヌワラエリヤのさらに先、標高約1900m地点に広がる大規模牧場。
涼しい気候を活かした酪農が行われており、新鮮な牛乳やヨーグルトを味わえます。放牧されている乳牛や羊を眺めながら、ちょっとヨーロッパの田園地帯に来たような気分に。
市街地から少し距離はありますが、自然ドライブがてら訪れる価値ありです。



この他にも、ヌワラエリヤ競馬場(旧英国人社交場の名残)やゴルフクラブ、シータラマヤ寺院(インドの叙事詩ラーマーヤナゆかりの寺院)など、多彩な見どころがあります。



コンパクトな町ですが周囲に観光スポットが点在しているため、車で効率よく巡るのがおすすめ。高原の澄んだ空気の中、景色を楽しみながら観光すれば、南国スリランカとは思えない爽やかな時間を過ごせるでしょう。
ヌワラエリヤの紅茶工場見学:本場セイロンティーを味わう
セイロンティーの名で世界中に知られるスリランカ紅茶。その中でもヌワラエリヤはスリランカ紅茶の主要7大産地の中で最も標高が高い エリアで、高品質な紅茶の生産地として有名です。



当然ながら周辺には紅茶農園と製茶工場が数多くあり、観光客向けに工場見学を受け入れている施設もあります。



茶摘み体験やティーテイスティングができるところもあるので、紅茶好きならぜひ訪れてみましょう。ここではヌワラエリヤ旅行者に人気の紅茶工場をいくつかご紹介します。
ペドロ茶園(Pedro Tea Estate)


ヌワラエリヤ中心地から約4kmとアクセス抜群の紅茶工場です。
1885年創業の歴史があり、日本でも紅茶ファンには知られた存在。午前8時から見学ツアーを随時開催しており(※12~14時は休止時間)、所要30分ほどで茶葉が製品化される工程をガイド付きで見学できます。
見学料は約200ルピーと安価で、終了後には一杯の紅茶試飲が付くのも嬉しいポイント。
工場敷地内のティーショップ&カフェでは、広がる茶畑を眺めながら淹れたての紅茶を味わえます。



また豆知識ですが、なんと日本でもお馴染みのキリンの「午後の紅茶」にはここの茶葉が使われているんです!
身近な紅茶の故郷を訪ねる体験に、きっと感動しますよ。
ダムロ・ラブケリー茶園(Damro Labookellie Tea Centre)


ヌワラエリヤとキャンディを結ぶ幹線道路沿い、ヌワラエリヤから北へ約8kmの場所にある大規模な茶工場です。
かつては英字看板が映える「マックウッズ (Mackwoods)」という老舗農園でしたが、現在はスリランカ家具大手のダムロ社が買収し運営しています。
こちらは見学ツアーが無料で、さらに見学後の紅茶も無料サービスという太っ腹ぶり。
観光客にも最も有名な工場の一つで、いつでも見学者を歓迎してくれます。ガラス越しに稼働中の製茶マシンを見られる衛生的な工場で、日本の工場見学のように安全に配慮されているのも特徴です(多くの紅茶工場は機械のすぐそばを歩いて見学するスタイル)。



撮影も許可されているので、美しい茶葉や機械をしっかり写真に収めたい方にもおすすめです。敷地内には広いショップが併設されており、お土産用の紅茶も種類豊富に揃っています。
ブルーフィールド紅茶工場 (Blue Field Tea Gardens)


キャンディ寄りの山道途中に位置する茶園で、こちらも旅行者に人気の見学スポット。



緑に囲まれた工場では無料のガイドツアーを行っており、最後に頂く一杯の紅茶が「美味しい!」と評判です。
工場内にはティーカップの形をした可愛らしい看板や撮影スポットもあり、観光施設としてよく整備されています。隣接のレストランで紅茶を使ったスイーツや軽食も提供しているので、移動途中の休憩がてら立ち寄るのも良いでしょう。
以上のように、ヌワラエリヤ周辺には見学可能な紅茶工場が点在しています。それぞれ見学時間帯や料金が異なるため、事前に最新情報をチェックして計画すると安心です。
製茶過程の見学では、茶葉の萎凋(いちょう)→揉捻(じゅうねん)→発酵→乾燥→選別という流れを学べて興味深いですよ。また茶畑での茶摘み体験を提供する農園もあります。



ぜひ本場セイロンティーの香りと味を現地で堪能し、お気に入りの紅茶をお土産に買って帰ってくださいね。
ヌワラエリヤのおすすめホテル:ヘリタンス・ティー・ファクトリー他
ヌワラエリヤでの宿泊は、歴史ある高級ホテルから家庭的なゲストハウスまで様々な選択肢があります。
避暑地らしくクラシカルな雰囲気のホテルが多いのも特徴です。ここでは日本人旅行者に人気のホテルをいくつかピックアップしてご紹介します。


↑ヘリタンス・ティー・ファクトリー外観(周囲はまさに茶畑!かつての紅茶工場を改装したユニークな高原リゾートです)
ヘリタンス・ティー・ファクトリー(Heritance Tea Factory)
ヌワラエリヤ旅行でぜひ一度は泊まりたいと評判の5つ星ホテルです。その名の通り元紅茶工場だった建物をリノベーションしており、外観から館内ロビーまで当時の趣きを色濃く残しています。


周囲360度を茶畑に囲まれた立地で、高台から眺める景色は格別。客室はクラシックで上品な内装ながら、Wi-Fiや暖房完備で快適に過ごせます。


宿泊者向けに茶摘み体験や茶工場見学も催され、紅茶づくしのステイが楽しめるのも魅力です。レストランでは紅茶を使った創作料理やアフタヌーンティーも提供。


まさに紅茶の故郷に泊まる特別感を味わえる唯一無二のホテルと言えるでしょう。
グランドホテル(The Grand Hotel)


ヌワラエリヤ中心部に位置する老舗高級ホテル。英国総督の元邸宅として1891年に建てられたという由緒正しい建物で、白亜の外観と美しいガーデンが印象的です。
客室やラウンジにはアンティーク調の家具が配され、まるで英国貴族の館に招かれたかのような優雅な時間を過ごせます。


宿泊せずとも有名なのが名物のアフタヌーンティーで、午後になると宿泊客以外の旅行者もティーラウンジに集い、本格セイロンティーと焼きたてスコーンを堪能します(ドレスコードはカジュアルすぎない服装が望ましいです)。


サービスレベルも高く、日本人旅行者からの満足度も非常に高い伝統のホテルです。
ジェットウィング・セントアンドリューズ(Jetwing St. Andrew’s)


ヌワラエリヤにはコロニアル調のホテルがもう一つあります。
それが街外れの丘に佇むジェットウィング・セントアンドリューズ。こちらも19世紀末創業の英国風マナーハウスを利用したホテルで、暖炉のあるラウンジやビリヤードルームなど紳士淑女の社交場だった面影が残ります。



客室は木の温もりある内装で落ち着ける雰囲気。


宿泊料金はグランドホテルよりやや手頃ながら、十分に高原リゾートの風情を味わえる穴場です。12時から提供されるアフタヌーンティーも好評で、庭園を眺めながらゆったりとティータイムを楽しめます。
この他にも、個人経営のヴィラ風ホテルやペンションタイプの宿も数多く点在しています。たとえば坂の上に立つラスサナヴィラ (Lassana Villa) のように1泊3,000円前後から泊まれる清潔なゲストハウスもあり、オーナーのホスピタリティが魅力です。
初めての個人旅行で不安な方は大手予約サイトの口コミ評価も参考に、自分の旅程や予算に合った宿を選ぶと良いでしょう。
高原ゆえ夜は冷え込むので、暖房設備の有無やお湯シャワーの安定性などもチェックポイントです。どの宿に泊まっても、朝晩の涼しさのおかげで南国とは思えない快適な睡眠が期待できますよ。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- ヌワラエリヤは標高約1,800mで年間平均16℃と涼しく、「リトルイングランド」と呼ばれる英国調の高原リゾート。紅茶畑や湖、美しい花々に囲まれた癒しの町です。
- アクセスはキャンディからの紅茶列車+タクシー併用が快適でおすすめ!荷物は車に預け、絶景の高原鉄道旅を楽しんだ後、ナヌオヤ駅からピックアップしてもらえば移動もスムーズです。
- 紅茶工場見学は旅のハイライト。 ペドロ茶園やダムロ・ラブケリーでは茶葉が作られる工程を見学でき、淹れたてのセイロンティーを試飲可能。日本の「午後の紅茶」に使われる茶葉の産地を訪ねる貴重な体験もできます。
- 宿泊は歴史ある高級ホテルから手頃なゲストハウスまで多彩。 中でも旧紅茶工場ホテルの「ヘリタンス・ティー・ファクトリー」や英国総督邸だった「グランドホテル」は人気。冷える夜に備えて暖房設備がある宿がおすすめです。
- スリランカ初旅行でアーユルヴェーダ体験をしたい人には、贅沢な海辺リゾート「ヘリタンス・アーユルヴェーダ・マハゲダラ」や良心的な「シッダレパ・アーユルヴェーダ・ヘルスリゾート」など専門施設が安心。本場の施術で旅しながら心身リフレッシュできます。
高原の爽やかな空気と笑顔あふれるスリランカの人々、そして香り高い一杯の紅茶…。ヌワラエリヤには、日常を忘れてリラックスできる要素がたくさん詰まっています。
しっかり計画を立てて訪れれば、初めての個人旅行でもきっと素敵な思い出になるでしょう。どうぞ万全の準備で、安全で楽しいスリランカ旅を楽しんできてくださいね!
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