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スリランカのバワ建築ホテルを徹底解説! 自然と融合する極上リゾート15選!

スリランカのバワ建築ホテルを徹底解説! 自然と融合する極上リゾート15選!

ようこそ、ジェフリー・バワの世界へ!

南国スリランカには、自然と建築が見事に調和した伝説的なホテルが点在しています。これらは「バワホテル」と呼ばれ、高級リゾート志向の旅好きから熱い注目を集めています。

スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワは、“トロピカル・モダニズム”の創始者として知られ、建物と自然を一体化させる独創的なデザインで世界的に有名です。

Dilshan

そんなバワが手掛けたホテルに滞在すれば、ただ泊まるだけでなく、大自然の中に溶け込んだ建築芸術を体感できるのです。

ジェフリー・バワ

インフィニティプール発祥やアマンリゾートへの影響も!

ゆき

実は今や高級リゾートの定番となった「インフィニティプール」を考案したのもバワだと言われています。

彼の設計したホテルのひとつでは、世界で最初のインフィニティプールが作られました(後述)。また、あのアマンリゾーツもバワ建築から大きな影響を受けたとも言われるほど、バワの功績は計り知れません。

スリランカの豊かな自然、美しいビーチや湖を背景に、屋内外の境界を感じさせない開放的な空間演出と伝統文化を織り交ぜたバワ建築。その唯一無二の世界観を味わえるホテルに泊まることは、旅を格別なものにしてくれるでしょう。

本記事では、スリランカにあるジェフリー・バワ設計のホテルを網羅的にご紹介します。

有名な高級リゾートから隠れ家的なヴィラまで、合計15か所の「バワホテル」の魅力を余すところなくお届けします。それぞれのホテルの特徴や価格帯、所在地も比較できるようまとめました。

さあ、あなたもバワが生み出した極上の空間で、心ゆくまで贅沢な時間を過ごしてみませんか?

目次

ジェフリー・バワとは?トロピカル建築の巨匠

まずはジェフリー・バワについて簡単に押さえておきましょう。ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa, 1919–2003)はスリランカ出身の建築家で、熱帯の自然と近代建築を融合させる「トロピカル・モダニズム」の先駆者として知られています。

元々は弁護士を志しましたが、イタリアなど世界各地を旅する中で建築に魅了され、遅咲きながら建築家の道へ進みました。スリランカ各地でホテルや公共建築、住宅を数多く手がけ、その作品は「自然との調和」をテーマにしています。

バワ建築の特徴は何と言っても建物と自然の一体化です。

ヘリタンスカンダラマ
ヘリタンスカンダラマ

建物内部に庭や池を取り込み、窓や壁を極力排して室内外の境界を曖昧にする設計手法は、南国の豊かな光と風を建築に招き入れます。

さらに、地元スリランカの伝統建築様式や素材を巧みにモダンに再解釈し、随所に取り入れている点も見逃せません。例えば木材や石材など現地の自然素材を活かし、職人の手による彫刻や布地(バティックなど)を装飾に用いることで、モダンでありながらどこか郷愁を感じる独特の空間を生み出しています。

Dilshan

こうしたバワの作品群は、建築界のみならず世界中のリゾートデザインにも大きな影響を与えました。先述のようにインフィニティプールの概念を生み出したり、有名リゾートブランドがバワの手法を参考にした例も多いです。

バワは約40年のキャリアで30以上のホテルを設計し、そのうち実際に建てられたものがスリランカ国内に12前後あるとも言われます(国外ではモルディブや東南アジアにも作品あり)。中でも今回は宿泊体験できるスリランカ国内のバワ設計ホテルに絞ってご紹介します。

スリランカのバワ建築ホテルの魅力

スリランカ旅行でバワホテルに泊まるメリットは、一言で言えば「極上の癒やしと感動を同時に味わえる」ことです。

建築そのものが観光名所級の価値を持つため、ホテルに居ながらして名建築巡りをしているような贅沢な気分に浸れます。例えば森に抱かれたホテルでは鳥のさえずりとともに目覚め、オープンエアの回廊を通って朝食へ向かう——それだけで特別な体験ですよね。

Dilshan

バワホテルでは自然と一体化した空間設計により、滞在中ずっと心地よい風や緑の眺めを感じられ、日常の喧騒を忘れさせてくれます。

また、多くのバワホテルにはアート作品や工芸品が取り入れられているのも魅力です。彼のコラボレーターには、画家のバーバラ・サンソニや布作家のエナ・デ・シルバ、彫刻家のラキ・セナナヤケなどスリランカを代表する芸術家たちが名を連ねます。

BARBARA SANSONI
BARBARA SANSONI
Ena de Silva
Ena de Silva

たとえば後述するリゾートのロビー天井には巨大なバティック(ろうけつ染め)のパネルが飾られ、50年以上経った今も鮮やかな色彩を放っています。別のホテルでは、青銅製の大階段オブジェが来訪者を出迎え、その精巧さに圧倒されるでしょう。こうしたアートと建築の融合もバワホテルの楽しみ方の一つです。

さらに、ホスピタリティの質の高さも忘れてはいけません。バワが関わったホテルは現在、国内有数の高級チェーン(ヘリタンス、ジェットウィング、シナモンなど)として運営されているものが多く、サービスや設備の面でも定評があります。

スパでアーユルヴェーダ体験ができるホテルや、世界遺産観光の拠点に便利なホテルもあり、ラグジュアリーでありながら目的に応じた多彩な滞在が可能です。

ゆき

「建築を楽しむ旅なんて難しそう…」と思う方でも、バワホテルなら純粋にリゾート滞在を満喫しながら建築美も味わえるので一石二鳥です。

それでは早速、スリランカ各地に点在するバワ建築ホテル15選を見ていきましょう!有名どころから穴場まで順番に紹介します。各ホテルの概要とともに、所在地や価格帯、特徴を一覧表にもまとめましたので、旅の計画の参考にしてください。

スリランカのバワ建築ホテル一覧

コロンボ市内のバワ建築に泊まる: ナンバー11 & デ・サラム・ハウス

ナンバー11
ナンバー11
ナンバー11
ナンバー11

首都コロンボでバワ建築に泊まれるスポットとして 「ナンバー11(Number 11)」「デ・サラム・ハウス(De Saram House)」 があります。

ナンバー11はバワ自身が暮らしていた自宅で、現在は建築好きの宿泊者向けに2部屋のみが提供されています。高級住宅街コロンボ3区の閑静な路地に位置し、外観は一見控えめですが内部は美術館さながら。

4軒の家を繋いで改築した邸宅にはバワが集めた調度品やアートが配され、1階の中庭や最上階のオープンデッキなど随所に彼の美学が感じられます。1組限定貸切で運営されており、一般見学ツアーも実施されていますが、宿泊者だけが立ち入れるエリアもあるため、ぜひ滞在して「バワの暮らし」を追体験してみたいですね。

一方、デ・サラム・ハウスはコロンボ7区の高級住宅街(シナモンガーデン)にある小さなブティックホテルです。

デ・サラム・ハウス(De Saram House)
デ・サラム・ハウス(De Saram House)
デ・サラム・ハウス(De Saram House)
デ・サラム・ハウス(De Saram House)

元々1986年にバワが友人夫妻のために改築を手掛けた邸宅で、2019年からゲストハウスとして宿泊受け入れを開始しました。こちらも部屋数はわずか4室程度とプライベート感抜群。

邸内には20世紀スリランカ芸術を象徴する「’43グループ」の作品が飾られ、静謐な空間にアートが映えます。大都会の中心とは思えないほど落ち着いた佇まいで、まさに隠れ家という表現がぴったり。コロンボ滞在で喧騒を離れて過ごしたい人におすすめです。

ジェットウィング・ラグーン(Jetwing Lagoon) – バワ初設計のリゾート

Jetwing lagoon
Jetwing lagoon
Jetwing lagoonの部屋
Jetwing lagoon

ジェットウィング・ラグーンは、1960年代にバワが初めて手掛けた記念すべきホテルです。

Dilshan

首都に近いネゴンボという海辺の町に位置し、その名の通りラグーン(潟湖)に面しています。元々「ブルー・ラグーン」という名称で1965年に開業し、スリランカ初の本格リゾートホテルとも称されます。

海と潟湖に挟まれた細長い敷地は、水辺の景観を最大限に活かすため計算された配置になっており、レストランからはラグーン越しの夕陽、反対側にはインド洋という贅沢な眺めが楽しめます。

客室は木製家具とオープンエアのバスルームを備え、南国の開放感たっぷり。広大な庭には全長100mにも及ぶスイミングプールがあり、西海岸地域では最長クラスです。

ネゴンボは空港から車で30分ほどとアクセス良好なので、旅の最初や最後の宿泊地としても人気。2012年に「Jetwing Lagoon」としてリノベーション開業し、大人のウェルネスリゾートとして生まれ変わりました。長旅の疲れを癒やすアーユルヴェーダスパも充実しており、到着後や出発前にゆったり過ごすのにうってつけです。

ベントタ・ビーチ(Cinnamon Bentota Beach) – 歴史的名作リゾートが復活

Cinnamon Bentota Beach
Cinnamon Bentota Beach
Cinnamon Bentota Beach
Cinnamon Bentota Beach

ベントタ・ビーチ(シナモン・ベントタ・ビーチ)は、バワが1967~69年に設計・建設したアジア有数のリゾートホテルです。

Dilshan

スリランカ政府の委託で開発されたこのホテルは、同国初期のビーチリゾートとして 「リゾート建築の金字塔」 とも称されます。

開業から50年以上経過し老朽化していましたが、2017~2019年にかけて2年がかりの大改修を行い、シナモン系列の5つ星リゾートとして華麗にリニューアルオープンしました。

ベントタ川河口の広大な敷地に建つこのホテルは、屋内外が連続するトロピカル建築の真骨頂。ロビーは壁のない吹き抜け構造で、海風が通り抜ける開放的な空間となっています。

特に有名なのがフロント棟の天井を飾る色鮮やかなバティック布パネル。これは開業当時に芸術家エナ・デ・シルバらが制作したもので、2019年の再オープンに合わせて同じ工房により忠実に復元されました。

フロント棟の天井を飾る色鮮やかなバティック布パネル

館内には他にも随所にオリジナルのアートが残されており、中でも孔雀を模した真鍮製の大型オブジェ(彫刻家ラキ・セナナヤケ作)は創業時から変わらずロビーを見守っています。

孔雀を模した真鍮製の大型オブジェ

このホテルは家族連れにも優しいリゾートへと進化しました。改修を手掛けたのはバワの愛弟子チャナ・ダスワッテで、デザインの細部に至るまで師の精神が息づいています。

広い敷地内には複数のプールやキッズクラブ、スパなど最新設備が揃い、往年のファンだけでなく新世代の旅行者も満足させる充実ぶりです。バワの傑作を現代的ラグジュアリーとともに味わいたいなら、ぜひ訪れてみてください。

パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントタ(The Villa Bentota) – 最初のブティックホテル

The Villa Bentota
The Villa Bentota
The Villa Bentota
The Villa Bentota

ザ・ヴィラ・ベントタは、スリランカ初のブティックホテルと言われる存在です。

元々1880年築のモホティ・ワラワ(豪邸)をバワが取得し、1970年代初頭に少客数のホテルへ改装したのが始まりでした。当時は「Villa Mohotti」と呼ばれ、欧米の旅行客に静かな隠れ家として親しまれたそうです。

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その後オーナーが変わり、現在はパラダイス・ロード社のKKコレクションとして14室のデザイナーズホテルになっています。

ビーチ沿いの広大な敷地にヴィラが点在するスタイルで、各棟ごとに趣の異なる客室が配置されています。バワが手掛けた当時の面影も随所に残り、例えば中庭に面した回廊や緑に囲まれたプールなど、プライベート邸宅のようなくつろぎを演出しています。

敷地内には鉄道の線路が通っており、客室やプールから時折列車が走るのが見えるユニークなロケーションです(音は多少聞こえますが、それも情緒という声も)。海岸までは徒歩5分ほどで、波が高い日は泳げませんが水平線から昇る朝日や沈む夕日を眺めるには絶好です。

館内にはスリランカ人アーティストの絵画や彫刻が多数飾られ、気に入れば購入も可能とのこと。レストランの料理評価も高く、宿泊者はもちろん挙式利用のゲストからも好評です。大人数の大型ホテルでは味わえない親密なサービスと洗練された空間美を求める方に、ぜひおすすめしたい一軒です。

クラブ・ヴィラ(Club Villa, Bentota) – バワの隠れ家ヴィラを改装

Club Villa, Bentota
Club Villa, Bentota
Club Villa, Bentota
Club Villa, Bentota

同じベントタにはもう一つ、バワが手掛けた小規模宿があります。それがクラブ・ヴィラです。

1976年、バワが友人のために設計した4ベッドルームの別荘が原型で、1980年にブティックホテルとして一般開放されました。以来、増改築を経て現在は客室数17を擁する趣あるホテルとなっています。

設計には後年バワの後継者たち(チャナ・ダスワッテやアンジェランドランら)も参加し、オリジナルを尊重しつつ拡張されました。

クラブ・ヴィラ最大の魅力は、そのタイムレスな雰囲気にあります。椰子の木々に囲まれた広いガーデン、アンティーク調のインテリア、オープンエアの回廊など、昔日のプランテーションハウスを思わせる趣きを残しています。

オープンエアの回廊
オープンエアの回廊

庭は海辺の黄金色の砂浜まで続き、リゾート内のプールでひと泳ぎした後はビーチでのんびり過ごすこともできます。バワが愛した場所には必ず椅子が置かれている、なんて言われますが、このヴィラにも彼のお気に入りだった眺めのスポットが点在しているとか。

大型リゾートとは一線を画すアットホームなおもてなしも好評です。「まるでバワが友人を迎えるような気持ちでゲストをもてなしている」というコンセプトのもと、スタッフは細やかな心配りで居心地の良い滞在を演出してくれます。ベントタ観光や川クルーズの拠点としても便利ですし、何もしない贅沢を味わうにも絶好のロケーションでしょう。

ヘリタンス・アフンガッラ(Heritance Ahungalla) – 世界初の無限プールを持つ傑作

Heritance Ahungalla
Heritance Ahungalla
Heritance Ahungalla
Heritance Ahungalla

ヘリタンス・アフンガッラ(旧トリトンホテル)は、1981年に南西海岸アフンガッラに完成したバワ設計のビーチリゾートです。特筆すべきは、世界で初めてインフィニティエッジを採用したプールがあること。

海へそのまま溶け込むように設計された水平線と一体化するプールは、当時画期的なアイデアでした。エメラルドグリーンの海原と繋がって見えるその光景は、まさに「空と海の境が消える」不思議な感覚を味わわせてくれます。

ホテル自体も「バワ最高傑作の一つ」と称されることが多く、エントランスを抜けた瞬間に目前に広がるパノラマ海景には誰もが息を呑みます。吹き抜けのロビーから一直線に視線が抜け、無限プール越しにインド洋の大波が押し寄せる様はダイナミックそのもの。

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建築そのものは直線的でモダンな造形ですが、光と影のコントラストが美しく計算され、時間帯や天候で刻々と表情を変える姿は劇場のようなドラマ性を感じさせます。

現在はヘリタンス系列の5つ星リゾートとして運営され、「バワ建築の最高峰を体験したい」という世界中の建築ファンや高級志向の旅行者が訪れます。

客室からももちろんオーシャンビューが楽しめ、サンセットバーで夕陽を眺めながら過ごす時間は格別です。なお、館内にはバワゆかりのアーティストによる壁画や彫刻も配されており、ローカルアートと建築の融合も堪能できます。スリランカ南西岸のビーチリゾートでは必見の一軒です。

ジェットウィング・ビーチ(Jetwing Beach) – ネゴンボのスタイリッシュな海辺の宿

jetwing beach
jetwing beach
jetwing beach
jetwing beach

ジェットウィング・ビーチは、ネゴンボにあるもう一つのバワ設計ホテルです。1980年代半ばに「ロイヤル・オーシャンニック・ホテル」として開業し、現在は改装されジェットウィング系列の4つ星リゾートになっています。

Dilshan

ネゴンボには他にジェットウィング・ブルー、シーと系列ホテルがあり紛らわしいのですが、このJetwing Beachは落ち着いた雰囲気とスタイリッシュなデザインで人気を集めています。

ゆき

全室オーシャンビューの客室は木や石を使ったナチュラルモダンな内装で、バルコニーからは絵葉書のような夕焼けを望めます。

バワのサインである大きな開口部や水盤も健在で、ロビーに入るとすぐに南国の風が吹き抜ける心地よさを感じるでしょう。2004年には全面改装され設備も一新されましたが、床のチーク材や天井の梁など随所にオリジナルデザインの面影が残されています。

ネゴンボという土地柄、空港から近く初日や最終日に利用する旅行者も多いですが、「ここを定宿にしてのんびり過ごす」という欧米リピーターもいるようです。

大型ホテルながらサービスは行き届いており、特に料理の評価が高いのも魅力です。にぎやかな街中のホテルではなく、少し離れた静かなビーチフロントでゆったりしたい人にはこのJetwing Beachが向いています。

ヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama) – 大自然に溶け込む天空の城

ヘリタンスカンダラマ
ヘリタンス・カンダラマ
ヘリタンス・カンダラマ
ヘリタンス・カンダラマ

ヘリタンス・カンダラマは、スリランカ中央部ダンブッラ近郊に位置する伝説的なエコ・リゾートです。

1994年竣工のこのホテルは、ジャングルの崖壁に張り付くように建つ異色の建築で、その姿から日本のファンの間では「天空のラピュタ」とも呼ばれます。

熱帯雨林とカンダラマ湖に囲まれ、遠目には岩肌から植物が生え茂る緑の城塞のよう。ホテルの外壁には蔦や草木が覆い尽くし、年月とともにまるで自然の一部と化しているかのようです。

ヘリタンスカンダラマ
ヘリタンスカンダラマ

内部もまた圧巻で、長い廊下の先にジャングルが迫り、窓からサルや野鳥が覗き込むほど。客室のバルコニーからはカンダラマ湖越しに世界遺産シギリヤロックが遠望できる贅沢なロケーションです。

バワはこの地を初めて訪れた際、「この景観を壊さない建築を」と考え崖と一体化するデザインを構想したと言います。その狙い通り、ホテルは周囲の絶景に溶け込みつつ、利用者には360度のパノラマビューを提供しています。

ゆき

ヘリタンス・カンダラマは環境に優しいホテルとしても評価が高く、アジア初のグリーン建築認定を受けたとも言われます。

館内では雨水再利用や省エネが徹底され、自然保護と快適性を両立させた先進的取り組みは世界のモデルケースになりました。

客室数は150以上と大型ですが、その構造ゆえにプライバシーは保たれ、3つのプールやスパ、展望レストランなど施設も充実しています。「バワ建築の最高傑作」と称されることも多いこのホテルは、一生に一度は訪れてほしい唯一無二の体験を与えてくれるでしょう。

アヴァニ・カルタラ・リゾート(Avani Kalutara Resort) – 川と海に抱かれた水辺のオアシス

Avani Kalutara Resort
Avani Kalutara Resort
Avani Kalutara Resort
Avani Kalutara Resort

アヴァニ・カルタラ・リゾートは、スリランカ南西部カルタラにあるリゾートホテルです。1990年代にバワが設計したもので、川と海に挟まれた三角州のような土地に建っています。

バワは1995年頃からこのプロジェクトに着手し、残念ながら完成前に他界しましたが、その構想はしっかりと形になりました。2012年に「Avani」ブランドで開業し、2019年には全面改装も実施されています。

敷地は一方でカルタラ河口のラグーン、もう一方でインド洋のビーチに面し、水に囲まれた極上のロケーションです。

建物配置は中央に円形の中庭を持つ独特のレイアウトで、上空から見るとまるで海に向かって開いた扇形(あるいはトリトンの貝)のようなデザインになっています。

ゆき

白を基調とした建築に、紫やコバルトブルーのアクセントカラーが映える内装はモダンかつ爽やか。全面ガラス張りのロビーからはラグーンの穏やかな水面が望め、まるで水上に浮かんでいるような錯覚を覚えます。

施設面では105室の客室に加え、隣接する5つ星「アナンタラ・カルタラ・リゾート」のレストランやスパにもアクセス可能で、滞在の幅が広がります。

伝統舞踊のショーやウォータースポーツなどアクティビティも豊富で、リゾート内で一日中楽しめるでしょう。朝はラグーン沿いのレストランで水鳥を眺めつつ朝食を、夕方はビーチでサンセット鑑賞…と水辺の魅力を存分に味わえる演出が満載です。バワ設計の中では比較的新しく設備も整ったリゾートですので、モダンな快適さと名建築の雰囲気を両立させたい方におすすめです。

ジェットウィング・ライトハウス(Jetwing Lighthouse) – ガalleの砦を望む海岸の名建築

Jetwing Lighthouse
Jetwing Lighthouse
Jetwing Lighthouse
Jetwing Lighthouse

ジェットウィング・ライトハウスは、南部の古都ガルにある高台のリゾートホテルです。

1997年竣工で、バワ晩年の大作の一つに数えられます。その名の通り灯台(Lighthouse)のある岬の突端近くに建っており、眼下にはインド洋の荒波が岩壁に砕け散るダイナミックな光景が広がります。

Dilshan

ガル旧市街(ゴール要塞)から車で約10分と観光拠点にも便利な立地です。

客室は全85室と大型で、バワ設計の中では珍しい規模のホテルですが、館内には随所に彼のシグネチャーが見られます。エントランスを入るとまず目に飛び込むのが、有名ならせん階段とブロンズ彫刻です。

ジェットウィングライトハウスの螺旋階段
ジェットウィングライトハウスの螺旋階段

ポルトガル植民地時代の乱デニウェラの戦いをモチーフに、兵士たちが渦巻くように配置された彫刻群は圧巻で、この階段自体がライトハウスの象徴的存在となっています。製作したのは盟友ラキ・セナナヤケで、バワと芸術家のコラボレーションの傑作と言えるでしょう。

ゆき

ホテル自体も海に向かって階段状に広がり、複数のレベルにプールが配置されています。最上段のインフィニティプールに浸かれば、すぐ目の前で打ち寄せる白波と一体化するような迫力を体験できます。

客室は天然木のフローリングやハンドメイド家具が高級感を醸し出し、バルコニーからは荒々しい海の景観を独り占めできます。館内のレストランやバーも洗練されており、ハネムーンや記念旅行で利用するカップルも多いそうです。ガル観光とセットで、芸術作品のようなホテル滞在を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ザ・ブルー・ウォーター(The Blue Water) – コロンボ近郊、バワ最後の大型ホテル

ザ・ブルー・ウォーター(The Blue Water)
ザ・ブルー・ウォーター(The Blue Water)
ザ・ブルー・ウォーター(The Blue Water)
ザ・ブルー・ウォーター(The Blue Water)

ザ・ブルー・ウォーターは、コロンボ南方のワドゥワにある5つ星ビーチリゾートです。

1997年に開業し、バワが生涯最後に設計したリゾートホテルとして知られます。首都から車で1時間ほどという好立地ながら、ヤシの木が生い茂る長い砂浜に面した環境はリゾート感満点。

バワはこのホテルについて「建物そのものが海へ流れ込むようだ」と語ったとされ、その言葉通り建築全体が水平線に向かって開かれたデザインが特徴です。

敷地に入ると一直線に並ぶ無数のヤシの木と、水盤を湛えた中庭が目に入ります。白亜の建物と濃緑の椰子、そして背景の紺碧の海とのコントラストが実に見事で、これぞトロピカル・モダニズムの集大成と感じさせます。

ロビーからビーチへ視線が抜けるレイアウトや、柱と柱のリズミカルな陰影、回廊に設けられた連続アーチなど、写真映えするスポットも盛りだくさんです。

ゆき

客室数は約140室と大規模ですが、全室オーシャンビュー&プライベートバルコニー付きでゆとりある造り。高級ホテルらしい充実の設備で快適に過ごせます。

このホテルにはバワ自身も特に愛着を持っていたと言われます。現在も開業当時の姿をよく留めており、コロンボ近郊でバワ建築を体験したい旅行者に人気です。

館内にはアーユルヴェーダスパや複数のレストラン・バーがあり、都会から少し離れてリゾートステイを満喫したい週末旅行者などにも利用されています。バワが遺した最後の大作で、南国リゾートの王道を行く極上空間をぜひ味わってみてください。

ザ・ラスト・ハウス(The Last House) – 文字通り“最後”のビーチ邸宅

The Last House
The Last House
The Last House
The Last House

ザ・ラスト・ハウスは、スリランカ南部タンガル近郊にある5寝室のみの小さなホテルです。

Dilshan

その名が示す通り、ジェフリー・バワが最後に手掛けた住宅プロジェクトであり、バワ人生の最終章を飾る作品として特別な存在感を放っています。

美しいマウエラビーチ沿いに建つ平屋建てのヴィラは、元々個人別荘として設計されましたが現在はブティックホテルとして貸切利用も可能となっています。

黄色がかった淡い外壁に青い窓枠が印象的な外観は、一見シンプルながら随所にバワらしい遊び心が感じられます。

客室棟は中庭とプールを囲むように配置され、どの部屋からも海風と波音が心地よく届きます。室内にはアンティーク家具や色鮮やかなファブリックが配され、窓から切り取られるヤシ越しの景色はまるで一枚の絵画のよう。

ゆき

時間がゆっくりと流れる中、午後には紅茶とおやつが供される心遣いも評判です。

全6室というプライベート感ゆえ、スタッフのホスピタリティも行き届いており欧米の旅行者を中心にリピーターが多いそうです。食事はシーフードを中心にオーガニック志向の優しい味わいで、ゲストの好みに合わせて西洋料理も提供可能とのこと。

まさに「何もしない贅沢」を実現するためのホテルであり、バワが追い求めた「自然と共生する居心地の良い住まい」の究極形がここにあります。喧騒から離れた隠れ家ビーチで、至福のチルアウトタイムを過ごしたい人にぜひおすすめです。

ルヌガンガ(Lunuganga) – バワが生涯を捧げた理想郷の庭園

Lunuganga
Lunuganga
Lunuganga
Lunuganga

最後にご紹介するのは、ルヌガンガです。ベントタにあるこの場所は、バワ自身が1948年から生涯をかけて築き上げた私邸の庭園で、彼の創造の原点にして最高傑作とも言われます。現在はカントリーハウス風の小さなホテルとして一般にも開放されており、建築ファン垂涎のステイが実現できます。

約15エーカー(東京ドーム13個分以上!)の広大な敷地には、10棟前後の建物と客室が点在しています。メインの屋敷はバワが週末住宅として使っていたもので、家具調度も当時のまま保存され博物館のような趣

Dilshan

他にもガラス張りの「ガラスハウス」や、水辺のパヴィリオン、さらには別荘「エナ・デ・シルバ・ハウス」(後述のNo.5)まであり、まるで一つの小さな村のようです。

庭園そのものが芸術品で、緩やかな丘陵と湖を活かしたランドスケープには計算し尽くされた視覚的仕掛けが満載です。視界の先に彫像や東屋が現れたり、木々のフレーム越しに湖面がキラリと光ったりと、歩くたびに新たな発見があります。バワはここで40年以上をかけて庭と建築を作り続けたため、未完ともいえる独特の味わいが感じられます。

客室はそれぞれ意匠が異なり、バワが使っていた「Geoffrey Bawa Suite」や、移築された「No.5(エナ・デ・シルバ邸)」の客室などがあります。

No.5は1960年代にバワが設計したコロンボ市内の名住宅を、2009年に石ごと移築・再現したもので、現在は3部屋のゲストハウス棟となっています。家族やグループで貸し切れば、E.デ・シルバが愛した伝説の家に泊まるというまたとない体験ができます。

ルヌガンガでは日帰りの庭園ツアーも毎日開催されていますが、宿泊すれば朝夕の静謐な時間に独占状態で散策できるのが大きな特典です。湖畔のレストランでいただくスリランカ料理も評判で、特にバワお気に入りだったというブラックポークカレーは絶品とのこと。

ゆき

都会の喧騒から離れ、鳥のさえずりと風の音だけが聞こえるこの地で過ごすひとときは、まさに別世界の癒やしです。建築好きにはもちろん、新婚旅行や記念日の滞在にもイチオシの特別な宿と言えるでしょう。

ヘリタンス・アーユルヴェーダ・マハ・ゲダラ(Heritance Ayurveda Maha Gedara) – バワ設計のウェルネスリゾート

Heritance Ayurveda Maha Gedara
Heritance Ayurveda Maha Gedara
Heritance Ayurveda Maha Gedara
Heritance Ayurveda Maha Gedara

最後に補足で触れておきたいのが、南西海岸ベールワラにあるヘリタンス・アーユルヴェーダ・マハ・ゲダラです。こちらは1970年代にバワが設計した「ネプチューン・ホテル」が前身で、2011年に現名称でウェルネスリゾートとして生まれ変わりました。客室数は少なめで、長期滞在の療養客向けに特化したアーユルヴェーダ施設となっています。

オリジナルのネプチューン・ホテルは1974年頃竣工で、モダニズム様式の低層建築でした。改装後もその骨格は保たれ、庭園と一直線に繋がるロビーやコロニアル風の柱廊など、往年のバワらしいデザインを見ることができます。全室オーシャンビューの造りも当時のままで、波音をBGMにアーユルヴェーダ治療に専念できる環境です。

基本的に宿泊客は治療目的が中心のため観光向きではありませんが、「バワ設計の空間で心身をデトックスしたい」という方には穴場的存在かもしれません。

ヘリタンス系列の高品質なサービスと、医師常駐の本格アーユルヴェーダ体験が融合したユニークな宿泊施設と言えるでしょう。ベールワラの静かなビーチに佇むこのホテルもまた、バワの多彩な作品群の一つとして記憶に留めておきたいところです。

まとめ:バワホテルで体験する極上の時間

以上、スリランカ国内にある主要なジェフリー・バワ建築のホテル15か所を紹介しました。

それぞれに個性と魅力があり、どのホテルを選ぶか迷ってしまうほどですね。最後に、今回取り上げたバワホテルの所在地や特徴、おおよその価格帯を一覧表にまとめました。旅程や予算に合わせてベストな一軒を見つける参考になれば幸いです。

スクロールできます
ホテル名 (所在地)主な特徴・魅力目安料金 (1泊)
Number 11(コロンボ)バワの自宅を改装。2部屋のみの貸切スイートで建築ファン必見。見学ツアー有約$200~(約3万円~)
※貸切料金
De Saram House(コロンボ)1980年代改築の都市邸宅。全4室の静かなブティックホテル約$120~$150
(約1.8万~2.3万円)
Jetwing Lagoon(ネゴンボ)バワ初設計リゾート。潟湖と海に囲まれ100mプールが名物のウェルネスホテル約$100~$180
(約1.5万~2.7万円)
Cinnamon Bentota Beach(ベントタ)1960年代創業の名作を2019年再オープン。バティック天井や彫刻など芸術的5つ星約$150~$250
(約2.3万~3.8万円)
The Villa Bentota(ベントタ)バワ初のブティックホテル(14室)。複数ヴィラが並ぶ洒落た邸宅型リゾート約$180~$300
(約2.8万~4.5万円)
Club Villa(ベントタ)1970年代築の別荘を改装。全17室のクラシカルな隠れ家ホテル。ガーデン良好約$100~$150
(約1.5万~2.3万円)
Heritance Ahungalla(アフンガッラ)世界初インフィニティプールを持つビーチリゾート。開放的ロビーは絶景約$130~$200
(約2.0万~3.0万円)
Jetwing Beach(ネゴンボ)ネゴンボのスタイリッシュホテル。全室オーシャンビューで静雅な雰囲気約$120~$180
(約1.8万~2.7万円)
Heritance Kandalama(ダンブッラ)ジャングルに溶け込む伝説的エコホテル。シギリヤ遠望可。施設充実の5つ星約$150~$250
(約2.3万~3.8万円)
Avani Kalutara Resort(カルタラ)川と海に囲まれた水上要塞風リゾート。近代的設備で快適。隣接アナンタラ利用可約$120~$200
(約1.8万~3.0万円)
Jetwing Lighthouse(ガル)岬の大型リゾート。渦巻く銅像階段が象徴。3つのプールと85室の堂々たるホテル約$180~$280
(約2.8万~4.2万円)
The Blue Water(ワドゥワ)コロンボ近郊最後のバワ大型作。ヤシ並木と水盤が迎える5つ星ビーチホテル約$140~$240
(約2.1万~3.6万円)
The Last House(タンガル)バワ最後の作品。全6室のビーチヴィラで欧米人に人気。静かに過ごす贅沢を約$150~$250
(約2.3万~3.8万円)
Lunuganga(ベントタ)バワの私庭をホテル化。点在する客室と広大な庭園を独占体験。宿泊者はガーデンツアー無料約$250~$400
(約3.8万~6.0万円)
Heritance Ayurveda(ベールワラ)元ネプチューンホテル。バワ設計の建物を活かしたアーユルヴェーダ専門宿約$100~$150
(約1.5万~2.3万円)
※フルボード

※料金は2名1室利用時の1泊あたり概算(サービス料・税別)です。季節やプランにより変動します。

今回のポイントをまとめると以下となります。

  • 自然と建築の融合:ジェフリー・バワ設計のホテルは、南国の豊かな自然と一体化した空間デザインが魅力。滞在中ずっと風・光・緑を感じられ、心身ともにリラックスできます。
  • 多彩なラインナップ:内陸のエコリゾートから海辺の高級リゾート、小規模ヴィラや邸宅ホテルまで、バワホテルは用途や好みに応じて選択肢が豊富です。旅の目的に合わせて最適な一軒が見つかるでしょう。
  • 建築とアートを堪能:ホテル自体が観光名所級の建築作品であるうえ、館内に貴重な美術工芸品が数多く飾られています。宿泊するだけで建築巡り&美術鑑賞が叶う贅沢な体験です。
  • 高品質なサービス:いずれも高級ホテルとして運営されているため、設備・サービスの水準は折り紙付き。スパやプール、グルメなどリゾートとして純粋に楽しめる要素も充実しています。
  • 特別な思い出に:バワ建築の空間で過ごす時間は、きっと一生忘れられない思い出になります。ハネムーンや記念日旅行、自分へのご褒美旅にも最適。ぜひスリランカで唯一無二のホテルステイを体験してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。スリランカのバワホテルで過ごす極上のひとときが、皆さんの旅をより豊かなものにしてくれることを願っています。どうぞ素敵なご旅行を!

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