MENU

天空の宮殿シーギリヤロック:壮大な歴史と謎に迫る!高所恐怖症の方には怖い?

天空の宮殿シーギリヤロック:壮大な歴史と謎に迫る!高所恐怖症の方には怖い?

スリランカのジャングルから突如そびえ立つ高さ約200mの巨岩、その頂上にかつて「天空の宮殿」が存在したと聞いたら信じられるでしょうか。

ゆき

世界遺産「シーギリヤロック」は、その驚きの景観とともに、王による父殺しや秘められた壁画など数々のドラマチックな歴史と謎を秘めた観光スポットです。

本記事では、シーギリヤロックの魅力や見どころ、アクセス方法やツアー情報、さらに「怖い」と噂される断崖の実情から残された謎まで、初級者から上級者まで楽しめるよう徹底解説します。

目次

シーギリヤロックとは?狂気の王が築いた天空の古都

スリランカ中央部マータレー地区の密林の中に聳える巨大岩石がシーギリヤロックです。

シーギリヤロック
シーギリヤロック
上級からのシーギリヤロック

約1,800年前の死火山のマグマが固まってできた一枚岩で、標高は約349m、地表からの高さはおよそ180〜200mにも達します。5世紀、この断崖絶壁の頂上に壮麗な王都と宮殿を築いたのがシンハラ王朝のカッサパ1世(Kassapa I)でした。

Dilshan

彼は実の父である王を幽閉・殺害し(当時仏教国で父殺しは最大の禁忌)、正統な継承者であった弟を追放して簒奪により王位に就いた人物です。

ゆき

父殺しの罪悪感と弟の復讐への恐怖から逃れるため、カッサパ1世はわざわざ攻めにくい岩山の上に新都を造営したとも言われ、その奇抜さから「狂気の王」とも呼ばれました。

頂上の宮殿はわずか数年で完成しましたが、カッサパ1世の栄華は長く続きませんでした。

即位から11年後の紀元495年、インドから帰還した弟モッガラーナ(Moggallana)との戦いに敗れ、追い詰められたカッサパ1世は自ら剣に倒れて果てました。

シーギリヤの都はわずか18年ほどで放棄され、その後は14世紀まで仏教僧院として利用されたとされます。長らく密林に埋もれていた遺跡が再び世に知られるようになったのは、19世後半にイギリス人探検家が壁画を発見し、20世紀初頭に本格的な発掘調査が行われてからです。

1982年には「シーギリヤの古代都市」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。現在では年間100万人もの観光客が訪れ、しばしば「世界で8番目の奇跡」と称されるスリランカ屈指の名所となっています。

シーギリヤロックの見どころ:絶景と歴史遺産を巡る冒険

シーギリヤロックの観光は、まさに古代の要塞都市を登山しながら辿る冒険です。その道中には数々の見どころが点在しています。ここでは主なハイライトを順に紹介しましょう。

水の庭園(ウォーター・ガーデン)

水の庭園(ウォーター・ガーデン)

岩山の麓一帯には、シーギリヤロックに登る前に通る広大な庭園跡があります。

Dilshan

左右対称に整備された庭園は「アジア最古の庭園」の一つとも言われ、カッサパ1世が世界中から集めた500人の王妃たちと水浴を楽しんだ場所と伝えられます。

噴水や水路も備えられており、当時の高度な水利技術を今に伝えています。

現在でも雨季には噴水が自然に作動することがあるそうです。広大な敷地を歩きながら、遥か上空に目的地の岩頂を仰ぎ見てみましょう。

鏡の壁(ミラーウォール)

シーギリヤロックのミラーウォール

岩の中腹に進むと現れる長さ約100mの漆喰塗りの壁が「鏡の壁」です。

古代には磨き上げられて王が自分の姿を映したというこの壁には、6〜10世紀頃の訪問者たちが残した落書きが今なお読み取れます。

ゆき

その数およそ700篇にもおよび、美しい女性画を称える詩などが記されています。

現在は文化財保護のため壁への書き込みは禁止されていますが、当時から人々がこの場所を観光し感動を詩に綴っていたことが分かります。

シーギリヤ・レディ(美女のフレスコ画)

シーギリヤレディ

鏡の壁付近の螺旋階段を上がった岩肌の窟室に、シーギリヤ最大の謎の一つである鮮やかな女性たちの壁画があります。

通称「シーギリヤ・レディ」と呼ばれる半裸の美女のフレスコ画で、かつて岩壁全体に500人ほどが描かれていたものが、現在では18人分(21体とも)が残るのみです。

色鮮やかなこれら女性像のモデルについては諸説あり、王の后妃や侍女とする説、豊穣を司る雲の妖精(天女アプサラ)像とする説、あるいは当時この地にあった仏教寺院の女神像とする説もあります。

Dilshan

いずれにせよ、誰が何のために描かせたのか明確な記録が残っておらず、その正体は現在も解明されていません。

なお本物のフレスコ画は劣化防止のため撮影禁止ですが、麓のシーギリヤ博物館には精巧なレプリカが展示されており、撮影も可能です。当時500人もの美女が岩壁を飾っていた光景を想像するとロマンを感じずにはいられません。

獅子の門(ライオンテラス)

ライオンテラス

岩山中腹の大テラスに位置し、頂上への最後の登攀口となるのが「獅子の門」です。

巨大なレンガ造りのライオン像が置かれていた場所で、現在は前脚の部分(高さ約2mの巨大な爪のある足)だけが残ります。往時はライオンの頭部が岩壁に取り付けられ、口の中から頂上への階段が伸びていたと考えられています。

この獅子像こそシーギリヤの名前の由来で、シンハラ語でライオンを意味する「シンハ(Sinh)」と岩山を意味する「ギリ(Giri)」が組み合わさり、シーギリヤ=獅子の岩(Lion Rock)と呼ばれるようになりました。

頂上の古代宮殿跡

ライオンの門から、いよいよ岩頂に向かう急階段を登ります。1,200段近い石段と鉄階段を登り切った先に広がるのは、約1.5ヘクタール(15,000㎡)にも及ぶ山上の巨大な宮殿の遺構です。

そこには王の玉座跡や居住区、水浴の池、作戦会議を行ったとされる広間や庭園跡などが残り、1400年以上前の栄華の面影を今に伝えています。岩山の頂とは思えない広大さと造営技術の高さに驚嘆するでしょう。

ゆき

さらに圧巻なのがその眺望です。頂上からは360度見渡す限りジャングルと平原が広がり、遠くまでスリランカの大地を一望できます。

頂上からのパノラマ

晴れた日の朝や夕方には特に美しく、眼下の景色はまさに「天空の城」にいるかのような感動を与えてくれます。

インスタ映えスポット!ピドゥランガラ・ロックからの絶景

シーギリヤロックを遠くから眺めるピドゥランガラ・ロックは近年インスタ映えスポットとして注目されています。

シーギリヤロックからPidurangala Rock(ピドゥランガラ岩)の絶景

シーギリヤロックからピドゥランガラ・ロックまでは車で10分という距離に位置しています。

シーギリヤロックからピドゥランガラ・ロックの距離
Dilshan

次に紹介するタクシーチャーターを利用しているのであれば、ドライバーにピドゥランガラ・ロックにも立ち寄ってもらうようにリクエストしましょう!

シーギリヤロックへの行き方とツアー選び

シーギリヤロックへはスリランカの主要都市から日帰り観光が可能です。最寄りの町ダンブッラからは車で約30分、古都キャンディからは車で約2時間半、最大都市コロンボからは約4時間半かかります。

鉄道は通じていないため、アクセスには主に車かバスを利用します。コロンボやキャンディからは長距離バスも運行しており、料金はコロンボ〜シーギリヤ間で数百スリランカルピー(数百円程度)と非常に安価です。

Dilshan

ただしバスは乗り継ぎや停車が多く時間がかかるため、効率を重視するならタクシーチャーター車での移動がおすすめです。

現地ツアー vs タクシーチャーター:どちらがお得?

シーギリヤロック観光には、大きく分けて現地発着のツアーに参加する方法と、タクシーチャーター(専用車の貸切)を利用する方法があります。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

スクロールできます
移動手段メリットデメリット参考料金(目安)
現地オプショナルツアー
(日帰りガイドツアー等)
ガイドや往復送迎が付いて安心。効率よく名所を回れる。他の遺跡(ダンブッラ石窟寺院やポロンナルワ遺跡など)とセットになったプランも多い。日程や立ち寄り先が固定され自由度が低い。基本的に英語ガイドが多く、日本語対応ツアーは割高。1人参加だと割高になりやすい。例:コロンボ発日帰りツアー
2万円〜2.5万円/人程度
タクシーチャーター
(専用車+ドライバー)
出発時間や行き先を自由にアレンジ可能。プライベート空間で移動でき快適。2〜4人など複数人で利用すれば1人あたりの費用が安く済む。日本語ドライバー手配も可能(要予約)。信頼できるドライバーや業者選びが必要。ガイドは基本付かないため自分で下調べが必要。1人利用だと割高(ツアーの方が割安な場合も)。チャーター料金
1日1台あたり1.5万円程度
※人数が多くなれば低コストに
路線バス (公共交通)圧倒的に安い(長距離でも数百円程度)。地元の人々とのふれあいなど旅情が味わえる。乗り継ぎや停車が多く所要時間が長い。車内は混雑しやすく快適ではない。本数やルートの把握が難しく初心者向きではない。コロンボ〜ダンブッラ間 バス運賃約LKR 500(¥150前後)

例えばコロンボ発の場合、車をチャーターすれば早朝出発・夕方帰着でシーギリヤ岩登頂と周辺観光をゆったり楽しめます。

Dilshan

観光後は有名なバワホテルであるヘリタンスカンダラマへ送り届けて貰うのがいいでしょう。ヘリタンスカンダラマへの公共交通手段での行き方は限られていますからね。

ゆき

翌日からはダンブッラ石窟寺院や、アヌラーダプラやポロンナルワといった世界遺産をまとめて移動することもできます!

日本語ドライバー付きのチャーター手配サービスもあり、ある日本人旅行者は「メール返信も早く、料金も大手ツアー会社のほぼ半額だった」とその利便性を絶賛しています。

スリランカでは日本人経営のタクシー会社もあり、予約すれば日本語のできる運転手が案内してくれるサービスも存在します。旅程のカスタマイズが可能なので、シーギリヤ以外に近郊の「ダンブッラ黄金寺院」や「ポロンナルワ遺跡」などを併せて巡ることも自在です。

シーギリヤロックは怖い?高所恐怖症への対策

「シーギリヤロック 登るのが怖い」という声を耳にすることがあります。

確かに、頂上に至るまでの階段は合計約1,200段にもおよび、中には急勾配で足元が吹きさらしになっている箇所もあります。

Dilshan

特に終盤のライオンテラスから頂上へ続く鉄製の階段は幅が狭く、手すり越しに真下の崖が見えるため、高所恐怖症の方には相当スリリングに感じられるでしょう。

ゆき

しかし、怖ささえ克服すれば頂上からの絶景は何にも代え難い体験です。どうしても恐怖を感じる場合は、無理をせず途中のライオンテラスで待機する選択も可能です。

ライオンテラス自体も十分広く景色を楽しめるスポットですので、頂上まで行かなくともシーギリヤの雰囲気は味わえます。また、同行者がいる場合はゆっくりペースを合わせて休憩を挟みつつ登りましょう。階段の途中にはベンチや待避所もあるので、安全に配慮しながら自分のペースで進めば大丈夫です。

なお、岩登りに際しては服装と持ち物にも注意してください。

動きやすい軽装・スニーカーで挑むのはもちろん、朝でも日差しが強いので帽子や日焼け止め、水分補給用の飲料は必携です。特に乾季の日中は岩の照り返しもあり酷暑になるため、熱中症対策は万全にしましょう。

おすすめは涼しい早朝または夕方の時間帯に登頂すること。午前7時の開門と同時に登り始めれば比較的涼しく、観光客で混雑する前に頂上を満喫できます。

観光時の注意点と豆知識

シーギリヤロックを訪れる際には、いくつか知っておくべき注意点があります。

蜂(スズメバチ)対策

岩山や周辺の森林には野生の蜂の巣が点在しており、過去には観光客が蜂に襲われ負傷した事例も報告されています。入口では「蜂に注意」の看板も見られるほどです。

Dilshan

特に乾季には蜂が刺激を受けやすいので、大声を出したり木を叩いたりして蜂を興奮させないよう注意しましょう。もし蜂が周囲に現れたら慌てず静かにその場を離れることが肝心です。

サルにご用心

敷地内には人懐こい野生のサルが多数生息しています。

基本的に人を襲うことはありませんが、観光客の持つビニール袋や食べ物めがけて素早く奪いに来ることがあります。バッグはしっかり閉じ、食べ物を見せびらかさないようにしましょう。

ゆき

かわいいからといって安易に近づけると肩や頭に乗ってくることもあるので要注意です。

入場料と博物館

シーギリヤロックの入場券は外国人料金で約30ドル(スリランカ現地通貨で約5,500ルピー)です。

Dilshan

クレジットカードは使えず現金払いのみなので、あらかじめ両替を用意してください。また、チケットには麓の「シーギリヤ博物館」の入館料も含まれています。

ゆき

博物館は日本の政府開発援助(ODA)によって2009年に開設された近代的な施設で、シーギリヤの歴史や発掘調査の成果を豊富な展示で学べます。

涼しい空調の効いた室内で一息つけるスポットでもあるので、登山前後にぜひ立ち寄ってみてください。

ベストな訪問時間

前述の通り、朝一番か夕方遅めの時間帯がおすすめです。特に朝は太陽が昇るにつれて周囲のジャングルが朝霧から姿を現し、爽やかな空気の中で登頂できます。

逆に正午前後は日差しと熱気が厳しく、ツアー客も増えて混雑します。

朝が難しい場合は、午後4時頃までに入場し日没までに下山するプランが良いでしょう。閉門は18時頃ですが暗くなると足元が危険ですので、遅くとも17時頃には下山を開始するようにしましょう。

シーギリヤロックに残る謎とロマン

スリランカ随一の観光名所であるシーギリヤロックには、未だ解き明かされていない謎が多く残されています。

Dilshan

その一つが前述したシーギリヤ・レディの壁画の正体です。

シーギリヤレディ

誰が何の目的で描かせたのか、未だ研究者の間でも議論が続いています。カッサパ1世の妃たちを理想化して描いたとも、古代宗教の女神を表したとも言われますが、決定打はありません。

壁画に添えられた古代の落書きでは「天から舞い降りた乙女たちよ」などと賞賛する詩も見つかっており、その神秘的な美しさが古来より人々を魅了してきたことがうかがえます。

ゆき

また、なぜ岩山に都を築いたかも完全には判明していません。

王位簒奪者であったカッサパ1世が防備を固めるために築いた山城というのが通説ですが、一方で近年の研究では「カッサパ1世は父王の計画していた新宮殿建設を継承しただけで、本来は父ダートゥセーナ王の発案だった」とする説や、あるいは「この地は元々ラーヴァナ王(インド叙事詩ラーマーヤナの魔王)の宮殿跡で、カッサパ王はそれを再利用した」という伝説めいた主張もあります。

ラーヴァナ説は史実とは考えにくいものの、シーギリヤの周辺からカッサパ時代以前の遺構も発見されているため、もしかすると全く無関係とも言い切れません。

Dilshan

さらに、高度な都市計画と技術の源も興味深い謎です。山上に大規模な貯水池や噴水付きの庭園を築き、岩盤をくり抜いた水槽も残されていることから、当時の水利システムの高さが伺えます。

頂上からのパノラマ

一説には、こうした技術背景には紀元前から続くスリランカの灌漑文化があったともされます。1500年以上前にこれほど完成度の高い天空都市が存在したこと自体、驚異と言えるでしょう。

シーギリヤロックは「古代都市計画の最も保存状態の良い例の一つ」として世界遺産登録されていますが、その繁栄と衰退のプロセスには未解明の部分が残されています。

こうした歴史ロマンに思いを馳せながら遺跡を歩くと、シーギリヤロック観光は単なる絶景めぐり以上の体験となるはずです。古の王が見たであろう景色に自分を重ね、残された謎に想像を巡らせる――シーギリヤロックは訪れる者にそんな贅沢な時間旅行をさせてくれる場所でもあるのです。

まとめ:シーギリヤロックで味わう古代のロマン

今回のポイントをまとめると以下となります。

  • 断崖の上の世界遺産:シーギリヤロックは5世紀の王によって岩山上に築かれた古代都市であり、その壮大なスケールと歴史ドラマで訪れる人を魅了します。
  • 見どころ満載:麓の水の庭園から始まり、中腹の鏡の壁と美女のフレスコ画、ライオンの門、そして頂上の宮殿遺跡と絶景ビューまで、登頂の道すがら数々のハイライトがあります。
  • アクセスと旅のコツ:コロンボなど主要都市から日帰り可能。複数人ならタクシーチャーターで自由度高く、1人旅なら現地ツアー利用も便利です。朝一番の登頂がおすすめ。暑さ・蜂・サル対策を忘れずに。
  • 「怖さ」は工夫で克服:高さ200mの岩登りはスリルがありますが、無理せず休み休み登れば問題ありません。恐怖を感じたら途中のライオンテラスまででも十分楽しめます。
  • 残る謎も魅力:描かれた美女たちの正体や先進的な都市設計など、未解明の要素が多いのもシーギリヤロックのロマンです。ぜひ古代の歴史に思いを馳せながら観光を満喫してください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次